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Slipknotボーカルの声の変化についての考察/ボーカルスタイルと人気の秘訣




ロックはもう衰退した




世界的にはラップ・EDMが

圧倒的なシェアを誇っていますが



未だ現役のロックバンドでも高い人気を誇る


Slipknot!



総勢9人という昨今には珍しい大型バンド

(時期により人数に変化あり)


 

このSlipknotの歴史を見ていくと

結構ボーカルに拘っていることがわかります



というより

ボーカルに拘ったからこそ確立された人気があります



超人気バンドの秘訣をみてみましょう!



 

表現豊かなボーカルがカギ







現在のSlipknotのボーカル Corey Taylor



実は彼がボーカルを務める前にも

ボーカルは何人かいました



正式にデビューする前に脱退した方や

初代ベーシストを担当していた ポール・グレイ



ポールのボーカルスタイルは過去のライヴ映像で確認できますが

Coreyと比較するとかなりラウドな歌唱スタイル





デスメタルに近い印象がありますね


脱退した旧メンバーの方も

話によるとポールに近い歌い方だったことが窺えます



しかし、バンドの意向として、幅広い層に受け入れてもらうために


”よりメロディアスに歌えるボーカル”



という条件でCoreyが選ばれたという経緯があるそうです



 

Coreyはこれまでのボーカルと違い


スクリーム以外の歌唱も得意としており

ジャズなども好んでいるとか



その影響がスクリームパートにも表れていて

一辺倒に叫ぶだけでなく、抑揚のあるフレーズが特徴的です



それでも 1st, 2ndアルバムでは

結構攻撃的な叫び方の比重が多かったです





スクリームパートもポールと比較すると



ポール・・・ほぼ歪んだ声の成分のみの声


Corey・・・地声の成分✙歪んだ声



というような違いがわかります





初期の頃から地声の成分が多めのため

通常のグロウルよりもキャッチーに聴こえますね



どちらかと言えばハードコア色が強めで

怒りの勢いに任せたような印象です



 

3rdアルバムから歌唱法に変化が





初期の切れ味の鋭い叫び声から



  • 全体的に柔らかめの声質

  • 高音域が普通のファルセットに近くなる

  • 低音域がより目立つ



といった変化が現れました

当時はなかなか衝撃的な変化でしたね



公には


「酒とたばこを止めたらいい声が出るようになった」


とマイクパフォーマンスで語っていました



まあ、実際の所

単純に発声法自体を変えたが正解でしょう



このころバンドは解散寸前まで亀裂が入ったり

バンドの方向性について色々と話し合ったという経緯があったそうです



実際にボーカルだけでなく

楽曲全体にも表現の幅がかなり豊かになりました



 

後にCoreyはこの頃の歌唱法について悩んでいたということを

インタビューで語っていて


「プロデューサーに相談したかったけど時間の都合で無理だった」


と言う旨を語っています



おそらくですが、今までの叫び方だと


「ギャーギャーうるさい」

「何を歌っているのかわからない」


という不満から試行錯誤をした結果だと思われます



より歪んだ声を抑えて

クリーンの声が目立つようにしたのかと



歌詞がしっかりと聴こえることを重視したようですね



ただまあ、デメリットも結構あって

歪んだ声が減った分


  1. ピッチ感が悪い意味で出てきた

  2. 単純に迫力が減った



所々音程が外れているようにも聴こえてしまっています





おそらくこれは本人も気にしていたと思われ


この歌い方はこのアルバムのみとなりました



 

現在の完成形へ






しかし、次のアルバムで見事に復活!



3rdアルバムのデメリットを解消して



歌詞もハッキリと聴き取れて

迫力のある叫び方を習得



このアルバム以降

現在もこの歌い方で過去の曲も統一しています




従来のファンも


「初期ほどの勢いはないけれど、これはこれでOK」


という意見も多く

おそらく彼の中の完成形だと思われます



 

具体的に何を変えたの?





個人的な判断ですが



初期の1st, 2nd・・・ Fry Screamメイン


3rd・・・地声多め + 弱めのFry Scream、未完成のFalse Chord Scream


4th以降・・・ 完成形のFalse Chord Screamメイン



という変化があったのかと思われます



要するに


高音の抜けがいいFry Screamから

低音域が響く False Chord Screamに移行した



のではないかと考えています





 

私の感覚なのですが


Fry Screamは音の抜けも良く勢いはありますが

結構高音がうるさくなって何を言ってるかわからない



というデメリットがあると感じています



何と言いますか


ドナルドダックみたいな声になっていくんです

(というかドナルドの声もFry Scream)



その点、 False Chord Screamは



体の低い位置で響かせるので

声の勢い自体は多少落ちてしまいますが



しっかりと低音の響きもあって

Fry Screamよりも声が安定して聴こえる



というメリットがあります



勿論声を低くしていくと

False Chord Screamも何言ってるかわからないんですがw



False Chord Screamでしっかりと歪んだ声を混ぜて

やや高めに歌う



こうすることで


パワー明瞭さを両立させた



ということだと推測しています




 

Slipknotがここまで長く愛される理由


それは楽曲自体の完成度もありますが



このパワーもしっかりあって

表情豊かなボーカルを確立した



と言う点が最大の理由かと思われます



世の中にはメタルコアバンドも多く出てきましたし

迫力だけならもっとすごいバンドは沢山あります



でも、結局のところそういう叫び声って

絶対に飽きてくるんですよ



それを見越して

唯一無二の歌唱スタイルを確立させたことが



他のバンドと一線を画す

Slipknotの魅力だと思います!!



きりぎりす@る〜む

        DOGRA MAGRA

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